対策の立案とは、真因が分かった後に、いきなり1つの案へ飛びつかず、解決策の選択肢を広げてから選ぶ工程です。伴走支援パートナーズは、中小企業の課題解決を計画づくりから現場での実行・定着まで一緒に進めています。その経験から実感するのは、良い対策ほど「広げてから選ぶ」順番から生まれることです。この記事では、選択肢を広げる2つの道具の使い方を解説します。オズボーンのチェックリストとブレインストーミングです。洗い出した案を次にどうつなぐかも、手順と比較表で具体的に示します。

「対策の立案」とは?1案に飛びつかない3ステップ

対策の立案とは、真因に対する解決策の候補を広げ、その中から選び、実行計画に落とす一連の工程です。まず選択肢を広げることが出発点になります。

真因とは、問題を生み出している根本の原因を指します。表面の症状ではなく、なぜ起きたのかをたどった先にある大もとです。真因の突き止め方は、前のステップ「問題の真因を追求する手順」で詳しく整理しています。そもそも問題の見つけ方から確認したい場合は「問題の見つけ方のフレーム」もあわせてご覧ください。

対策立案でつまずきやすいのは、真因が見えた瞬間に、思いついた1案へ飛びついてしまうことです。最初に浮かぶ案は、これまでのやり方の延長であることが多く、より効果の高い選択肢を見落とす原因になります。だからこそ、選ぶ前に候補を広げる工程を挟みます。

対策の立案を「広げる・選ぶ・実行する」の3段階で示したフロー図
対策の立案は、いきなり1案に絞らず「広げてから選ぶ」順で進めます。本記事が扱うのは最初の「広げる」までです。

具体例で考えましょう。たとえば、受注ミスが多い会社を想定します。真因は「口頭伝達による聞き間違い」だと特定できました(状況)。ここで最初の1案「注意喚起の朝礼を増やす」には飛びつきません。記録の方法や仕組み、役割の変更まで候補を広げます(打ち手)。すると朝礼より「受注をチャットで残す」案が現場に合うと分かり、選ぶ材料が増えました(結果)。広げる工程があるほど、選ぶ質は上がりやすくなります。

選択肢を広げる2つの道具|オズボーンとブレストの使い分け

選択肢を広げる道具は、主に2つあります。1人でも強制的に発想を広げるオズボーンのチェックリストと、複数人で自由に連鎖させるブレインストーミングです。場面に応じて使い分けます。

アイデアを広げる2つの道具、オズボーンのチェックリストとブレインストーミングを対比したカード
選択肢を広げる道具は主に2つ。1人でも強制発想できるオズボーンと、複数人で連鎖させるブレストを使い分けます。

使い分けの軸は、参加人数・目的・向く場面の3つです。1人または少人数で既存の商品や業務を切り口にするなら、オズボーンが向くでしょう。白紙から会議で量を出したいなら、ブレインストーミングが向きます。それぞれの違いを次の表で整理しました。

比較軸 オズボーンのチェックリスト ブレインストーミング
人数 1人〜少人数でも可 複数人(4〜7人が目安)
やり方 9つの問いを順に当てる 自由に発言し合う
強み 発想が途切れても問いで強制的に出せる 互いの案に乗って一気に量が出る
向く場面 既存の商品・業務を改良したいとき 白紙から幅広く出したいとき
注意点 問いに縛られ発想が狭まることがある 声の大きい人に流されやすい

2つは対立するものではありません。まず1人でオズボーンのチェックリストを使い、案の下地を作ります。その下地を会議のブレインストーミングに持ち込めば、さらに広げられます。この併用も有効な進め方です。アイデア出しの会議設計から一緒に整えたい場合もあるでしょう。その際は、対策づくりを実行まで伴走する支援サービスでご相談いただけます。

たとえば、新商品の案が社内で出ないと悩む会社を考えてみましょう(状況)。まず企画担当が1人でオズボーンの9視点を使います。そしてたたき台を10案そろえました(打ち手)。この10案を会議のブレインストーミングに出しました。すると白紙のときより発言が続き、組み合わせの案も生まれます(結果)。下地があると、会議は動きやすくなるでしょう。

オズボーンのチェックリスト|9つの視点でアイデアを増やす

オズボーンのチェックリストとは、既存のものに9つの問いを当てて、発想を強制的に広げる道具です。転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・再編成・逆転・統合の9視点で見直します。

考案者は、アメリカの広告代理店BBDOの共同創業者アレックス・オズボーンです。彼は副社長も務めました。同じ人物が体系化した集団発想法がブレインストーミングです。いずれも「アイデアは技術で引き出せる」という考え方に基づいています。

オズボーンのチェックリスト9つの視点と、それぞれの問いかけ・発想の例をまとめた表
オズボーンのチェックリスト9視点。無理にでも各視点で1案ひねり出すのがコツです。「代用」は郵送DVDを配信に置き換えたNetflixが有名な例。

使い方は、次の手順で進めます。

  1. 広げたい対象(商品・業務・仕組み)を1つに絞ります。
  2. 9つの視点を上から順に当て、それぞれ最低1案をひねり出しましょう。
  3. 案が出ない視点も、飛ばさず無理にでも言葉にします。
  4. 出そろった案は、後で選べるようすべて書き残してください。

「代用」の視点は、身近な例で理解できます。動画を見る手段を考えてみましょう。郵送のDVDから配信へと手段を「代用」したのが、動画配信サービスのNetflixです。映像を楽しむ価値は保ったまま、届け方だけを別の手段に置き換えた発想といえます。自社でも「今の手段を別のもので置き換えられないか」と問えば、案は増やしやすくなります。

自社への当てはめも、短い例で見てみましょう。たとえば、説明資料が長すぎて読まれない会社を想定します(状況)。「縮小」の視点で、資料を1枚の要点版に削りました(打ち手)。すると読み手の負担が減り、社内での確認が早まりました(結果)。視点を1つ当てるだけでも、打ち手は具体化します。

ブレストを機能させる5つのルール

ブレインストーミングとは、複数人が自由にアイデアを出し合う集団発想法です。次の5つのルールを守ると、質の高い案が出やすくなります。

  1. 質より量を優先する:良し悪しは気にせず、まず数多く出しましょう。
  2. 批判しない・歓迎する:どんな案も否定せず、いったん受け止めます。
  3. 結論を出さない:会議中は評価を保留し、発散に徹してください。
  4. いい案には乗っかる:他人の案に便乗し、組み合わせて発展させます。
  5. 時間を決める:制限時間を設け、集中して出し切ります。

5つのルールは、オズボーンが1953年に示した4原則がもとになっています。4原則とは、判断を保留する・自由奔放を歓迎する・量を求める・結合し発展させる、の4つです。これに時間を区切る運用を加えたものが、いま挙げた5つのルールです。4原則は、発想を評価から切り離すための工夫だと理解すると腑に落ちるでしょう。

ブレインストーミングが機能しない会社には、共通の理由があります。たとえば、出た案をその場で上司が批評してしまう会社を考えます(状況)。これでは参加者が萎縮しかねません。そこでルールを紙に貼り出し、「批判しない・結論を出さない」を進行役が徹底しました(打ち手)。すると発言数が増え、以前は出なかった角度の案も拾えました(結果)。ルールは、才能ではなく場づくりで案を引き出す仕掛けです。

対策を選ぶ4つの基準|次のステップ(実行へ)

洗い出した選択肢は、効果・実現可能性・コスト・リスクの4つの基準で絞り、担当と期限を決めて実行に移します。本記事が扱うのは「広げる」までで、選んだ後の実行はこの後の工程です。

選ぶ段階では、出した案を同じ基準で並べて比べます。効果は大きいが実現が難しい案もあれば、すぐできるがリスクが高い案もあります。案には一長一短があるものです。1つに決めたら、5W2Hで実行計画に落とし込みます。5W2Hとは、誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように・いくらで、の7項目で計画を具体化する型です。

実行の段取りとは、「誰が・何を・いつまでに」の決め方です。これは次のステップ「対策を実行に移す手順」で具体的に解説しています。広げて選んだ対策も、実行され定着して初めて意味を持ちます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 対策の立案とは、具体的に何をする工程ですか?

真因に対する解決策の候補を広げ、その中から選び、実行計画に落とす工程です。問題解決の流れの中では、原因を突き止めた後、実際の行動に移す直前にあたります。最初にやるのは「選ぶ」ではなく「広げる」で、選択肢を十分に出してから比較・選択へ進みます。真因を突き止める前段は「問題の真因を追求する手順」を参照してください。

Q2. 対策案が1つしか思い浮かびません。どうすれば広げられますか?

発想を強制する道具を使うと、案は増やせます。1つしか出ないのは、才能の問題ではなく切り口が足りないだけの場合が多いためです。オズボーンのチェックリストで9つの問いを順に当てれば、機械的にでも別の角度の案が出ます。1人で行き詰まったら、少人数のブレインストーミングで他人の視点を借りるのも有効でしょう。

Q3. オズボーンのチェックリストは、何から始めればよいですか?

広げたい対象を1つに決め、9つの視点を上から順に当てることから始めます。対象がぼやけていると、問いも当てにくいためです。まず「転用(別の使い道はないか)」から入り、案が出なくても飛ばさず次の視点へ進めます。全視点を一巡するだけで、通常は複数の案が手元に残ります。

Q4. ブレインストーミングをやっても盛り上がらず、案が出ません。なぜですか?

多くの場合、原因は「その場で案を批判・評価してしまう」ことにあります。否定されると参加者が萎縮し、量が出なくなるためです。会議中は、批判しない・結論を出さないの2つを進行役が徹底します。そのうえで時間を区切り、発散に集中させてください。声の大きい人だけが話す状態も避け、全員が発言できる進め方に整えると効果的です。

Q5. 1人でもアイデアを広げる方法はありますか?

あります。オズボーンのチェックリストは、1人でも使える道具です。複数人を集めにくい中小企業でも、9つの問いを自分に当てれば案は出しやすくなるでしょう。まず1人で下地を作り、後日メンバーとのブレインストーミングに持ち込みます。この二段構えなら、限られた人数でも案を広げやすくなります。

Q6. 洗い出した対策案は、どうやって1つに絞ればよいですか?

効果・実現可能性・コスト・リスクの4つの観点で並べて比べるのが基本です。1つの基準だけで選ぶと、効果は高いが実現できない案などを取りこぼすためです。絞った案は5W2Hで実行計画に落とし込みます。選んだ後の進め方は「対策を実行に移す手順」で解説しています。なお、どの案が最適かは会社の状況で変わり、絞り込みに唯一の正解があるわけではありません。

対策の立案から実行・定着まで、一緒に進めませんか。

伴走支援パートナーズ株式会社は、中小企業の問題解決を支援しています。選択肢を広げる会議設計から、対策の選定・実行・現場への定着まで一緒に伴走します。「案が広がらない」「決めても実行が続かない」という段階から、御社に合わせて設計します。まずは対策づくりの進め方を無料相談するところから、お気軽にご連絡ください。


執筆:伴走支援パートナーズ株式会社(経営コンサルティング/伴走型支援)
本記事で紹介した発想法は一般的な手法の解説であり、同じ手順で同じ成果を保証するものではありません。

関連記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
TOP