真因の追求とは、表面的な原因で止めず、具体的な対策が打てるレベルまで「なぜ?」を繰り返し、根本原因にたどり着く進め方です。私たちは、計画づくりだけでなく実行・定着まで伴走するコンサルティング会社です。規模も業種もさまざまな企業の問題解決に立ち会ってきました。その経験から見えるのは、多くの現場が表面の原因で止まり、同じ問題を繰り返している現実です。本記事では、クレームや納期遅れなど繰り返す問題に使える「なぜなぜ分析」の手順を整理します。あわせて、犯人探しになりがちな失敗の避け方まで解説します。
真因の追求は、問題解決の流れの中で「問題のありか」を見極めた後に取り組む工程です。手前の工程でつまずいている場合は、まず問題箇所を特定するステップから見直すと、掘り下げる対象がはっきりします。問題のありかを事実で絞り込んでこそ、「なぜ?」の問いが空回りせずに済みます。
なぜなぜ分析・真因とは?押さえる3つの前提
なぜなぜ分析とは、問題に対して「なぜ?」を繰り返し、根本原因まで掘り下げる手法です。真因とは、対策で取り除くべき本当の原因を指します。トヨタ生産方式で知られる「5 Whys(5回のなぜ)」も同じ考え方で、なぜを重ねて現象の奥にある原因へ迫ります。表面の原因に手を打っても問題が再発するのは、真因に届いていないからです。
なぜなぜ分析を進める前に、押さえるべき前提が3つあります。前提を外すと、掘り下げても的外れな結論に着地しがちです。
- 事実で問う:印象や推測ではなく、数字や現場で確認できる事実を起点にする。
- 手が届くレベルで止める:自社で対策を打てる原因まで掘れたら、そこで止める。
- 人ではなく仕組みを問う:「誰が悪いか」ではなく「なぜその仕組みだと起きるか」を問う。
例えば、出荷ミスが続く現場で「担当者の不注意」を原因にすると、注意喚起だけで終わり、再発しがちです。どの工程で・どんなミスが・何件という事実を確認し、二重チェックの仕組みが無い点まで掘れば、手が届く対策に変わります。問題の見つけ方となぜなぜ分析の基本は、問題の見つけ方を解説した記事でも扱っています。
自社だけで真因まで掘り切るのが難しいときもあります。そんなときは、現場の事実整理から一緒に手を動かす実行・定着まで伴走する支援サービスもご活用ください。机上の分析で終わらせず、対策が回るところまで並走します。
真因にたどり着く5ステップ|なぜを繰り返す手順
真因にたどり着く基本の手順は5ステップです。問題を事実で定義し、「なぜ?」を事実ベースで一段ずつ掘り、手が届くレベルで真因を一つに絞り、再発を防ぐ対策へ変換します。順番どおり進めると、一見どうしようもない問題にも打ち手が見えてきます。
- 問題を具体的な事実で定義する:「売上が悪い」ではなく「先月比で納期遅れが◯件増えた」と数で表す。
- 「なぜ?」を事実ベースで一段掘る:憶測ではなく、現場で確かめられる理由を挙げる。
- 手が届くレベルまで繰り返す:対策が打てる原因が見えるまで、なぜを重ねる。
- 真因を一つに特定する:複数の原因が出たら、影響が大きく手を打てるものに絞る。
- 再発を防ぐ対策に変換する:真因を取り除く仕組みへ落とし込む。
納期遅れのケースで、実際になぜを掘り下げてみます。出発点は「先月比で納期遅れが増えた」という事実です。そこからなぜを重ねると、真因は「担当者の頑張り不足」ではなく「属人化」だと分かります。属人化とは、特定の人しかできない状態に業務が偏ることです。ここまで掘れれば、手順の標準化や多能工化に対策を変換できます。多能工化とは、一人が複数の工程を担えるようにすることです。

納期遅れの掘り下げで大切なのは、④の「属人化」で止めて仕組みを問うことです。「担当者がもっと頑張れば」で止めると、対症療法にしかなりません。掘り下げて特定した真因を対策へ移す工程は、次の対策の立案ステップで具体化していきます。
なぜなぜ分析でありがちな3つの失敗と回避策
なぜなぜ分析でありがちな失敗は、「犯人探し」「浅い掘り下げ」「深すぎる掘り下げ」の3つです。いずれも真因から遠ざかり、対策が空回りする原因になります。回数の多さより、事実に基づいて掘れているかが分かれ目です。

犯人探しは、最もよくある失敗です。「なぜミスした?」を人に向け続けると、担当者が萎縮し、事実が出てこなくなります。回避策は、問いの主語を仕組みに変えることです。「なぜこの手順だとミスが起きるのか」と問い直すと、チェック欠如などの真因に届きます。
浅い掘り下げは、現象への手当てで満足してしまう失敗です。「クレームが来た→謝罪した」で終えると、原因の仕組みは残ります。対策が打てるレベルまで、あと一段掘れているかを確認しましょう。
深すぎる掘り下げは、「景気が悪い」「業界の構造」など自社で手が届かない所まで進めてしまう失敗です。掘る目的は評論ではなく対策の実行にあります。自社で動かせる範囲に真因を見つけたら、そこで止めます。
対症療法と根本対策の違い|再発を防ぐ2つの分かれ道
対症療法とは、現れた現象だけに手当てする対応です。根本対策とは、真因を取り除いて再発しにくくする対応を指します。両者の違いが表れるのは「同じ問題がまた起きるか」という一点です。その場をしのぐだけか、仕組みを変えるかが分かれ道になります。

例えば、同じ内容のクレームが月に何度も届くとします。個別の謝罪と返金だけを続けるのは、対症療法にすぎません。これでは対応の工数が積み上がる一方です。一方、受注時の確認項目が抜けやすいという真因まで掘るとどうでしょうか。注文書のフォーマットを直せば、同じクレームは起きにくくなります。目の前の火消しと並行して、仕組みを一つ直す発想が再発を防ぎます。ただし効果の出方は状況により異なり、一度の対策ですべてが解決するとは限りません。
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜは5回繰り返さないとダメですか?
回数を5回にこだわる必要はありません。「5 Whys」の5は目安で、大切なのは対策が打てる真因に届くことです。3回で手が届く原因に着くこともあれば、6回以上かかる場合もあります。回数を数える前に、一段ごとに事実で確認できているかを重視してください。掘り方の基本は問題の見つけ方の記事でも紹介しています。
Q2. どこまで掘れば「真因」と言えますか?
自社で対策を打てる原因まで掘れたら、そこが真因です。それ以上掘って「景気」「業界構造」に達すると、手が止まってしまいます。逆に現象の一つ手前で止めると、対症療法になります。「この原因に手を打てば再発を防げるか」を基準に、止めどころを判断してください。掘り当てた真因を対策に移す手順は、対策の立案ステップで解説しています。
Q3. どうしても犯人探しになってしまいます。
問いの主語を「人」から「仕組み」に変えてください。「なぜ担当者はミスしたか」ではなく「なぜこの手順だとミスが起きるか」と問い直すと、人を責めずに真因へ向かえます。犯人探しは事実を隠す空気を生み、分析の精度を落とす原因です。責める場ではなく、仕組みを直す場だと最初に共有すると進めやすくなります。
Q4. 一人でも進められますか?
一人でも始められますが、工程を知る複数人で行うと事実の精度が上がります。一人だと思い込みで原因を決めがちだからです。「本当にそうか」を現場に確認しながら掘ると、的外れな真因を避けられます。人を集める余裕がなければ、影響の大きい問題を一つだけ選んで試すとよいでしょう。人手が足りないときは、現場の事実整理から一緒に手を動かす伴走支援サービスもご検討ください。
Q5. 忙しくて分析の時間が取れません。
まずは再発コストが大きい問題を一つに絞ってください。すべての問題を掘る必要はありません。同じ対応を繰り返している問題ほど、真因を一度つぶす効果が見込めます(効果の程度は状況により異なります)。たとえば15分でも、ホワイトボードに書き出すと掘り下げの糸口が見えやすくなります。
Q6. 掘っても対策が思いつかないときは?
真因の粒度が粗すぎるか、手が届かない所まで掘っている可能性があります。もう一段具体的な事実に戻し、「自社で動かせる原因か」を確認してください。それでも打ち手が出ないときは、対策づくりの型が役立ちます。具体的な立案の進め方は対策の立案ステップで解説しています。
まとめ:なぜを繰り返し、対策が見えるまで掘る
真因の追求は、表面の原因で止めず、対策が打てるレベルまで「なぜ?」を繰り返す進め方です。事実で問い、手が届く所で止め、人ではなく仕組みを問う。この3つを意識すると、クレームや納期遅れのような繰り返す問題にも、再発を防ぐ根本対策が見えやすくなります。犯人探しや浅い掘り下げを避け、掘り当てた真因を次の対策づくりへつなげてください。
問題の真因の掘り下げから対策の実行まで、一緒に進めませんか。
伴走支援パートナーズ株式会社(新潟・柏崎)は、なぜなぜ分析による真因の追求から、対策の実行・定着まで並走します。「原因が特定できない」「対策が現場で回らない」という段階から、現場の事実整理を一緒に手を動かして進めます。進め方や効果は企業ごとの状況により異なります。問題解決の進め方を無料相談で相談するところから、お気軽にご連絡ください。
執筆:伴走支援パートナーズ株式会社(経営・業務コンサルティング/問題解決支援)
公開日:2026年7月13日/最終更新日:2026年7月13日
本記事の内容は一般的な問題解決の考え方を整理したものであり、成果や効果は企業ごとの状況により異なります。