問題解決で最初にやるべきは、解決策を探すことではなく、『解くべき問題』を正しく決めることです。ここを外すと、その後の努力はまるごと的を外しかねません。私たちは、計画づくりだけでなく実行・定着まで一緒に手を動かすコンサルティング会社です。日本と米国の双方、大小さまざまな業種の現場で伴走してきました。この記事では、問題設定でつまずく3つの型と、本当の問題を見抜く4ステップを整理します。あわせて問題と課題の違いや、エレベーターの例に学ぶ再定義も取り上げます。

問題の明確化とは|問題解決で最初にやること

問題の明確化とは、解くべき問題を一文で正しく設定する作業です。問題解決はWHAT・WHERE・WHY・HOWの順に進み、その最初のWHATがこの明確化にあたります。

WHATとは「何が問題か」を決める段階を指します。順番を飛ばして解決策から入ると、的外れな打ち手に力を注いでしまいます。ここで問題を言葉にしないまま先へ進む会社は少なくありません。問題解決の全体像は、問題解決の正しい順番を解説した記事で整理しています。本記事はその第一歩にあたる部分を深掘りします。

たとえば「受注が減った」という状況を考えてみましょう。多くの会社は、ここで問題を「営業力が足りない」と設定しがちです。しかし本当の問題が既存客の離れであれば、新規営業を増やしても穴はふさがりません。まず問題を正しく置くことが、遠回りを防ぐ近道になります。

問題設定を間違える3つの型|労力がムダになる理由

問題設定を間違える型は、大きく3つあります。症状と本体の混同、解決策からの逆算、他人の問題の抱え込みです。間違った問題や解決しなくてよい問題に取り組むほど、無駄な時間はありません。

1つ目は、症状を問題と思い込む型です。「クレームが増えた」は症状であり、本体は対応手順の不在かもしれません。2つ目は、先に打ち手を決めて逆算する型です。「AIを入れたい」から問題を作ると、道具ありきで論点がゆがみます。3つ目は、他人の問題を自分の問題として抱える型です。取引先都合の事情を自社の問題と混同すると、力の入れ先を誤ります。私たちが現場で伴走してきた実感でも、症状を問題と思い込む一つ目の型は特に起こりやすいものです。

たとえば、ある会議で「残業が多い」を問題に据えたとしましょう。実際の本体が特定担当への業務集中なら、全社一律の早帰り号令は効きません。ただし、本体がどこにあるかは会社ごとの状況で変わります。症状ではなく本体に照準を合わせることが、労力をムダにしない分かれ目です。

本当の問題を見抜く4ステップ|問題の明確化の手順

本当の問題は、4つのステップで見抜けます。ギャップの一文化、本体の確認、発生箇所の特定、解くべき問題の再定義です。

現状とあるべき姿のギャップを一文化し、症状か本体かを疑い、どこで起きるか範囲を絞り、解くべき問題を一文で再定義する、問題の明確化の4ステップを縦に並べた図。
問題の明確化は、この4ステップで『解くべき問題』を一文に落とし込みます。

4つのステップの進め方は、次のとおりです。

  1. 現状と「あるべき姿」のギャップを一文にする:今どうなっているか、本来どうあるべきかを並べ、その差を具体的な一文で書き出します。
  2. 症状か本体かを疑う:目に見える困りごとが表面の症状か、原因の本体かを確かめます。「なぜ」を2〜3回重ねると見分けやすくなります。
  3. どこで起きているか範囲を絞る:問題が発生する場所・工程・対象を特定します。範囲の絞り込みは問題箇所を特定する次のステップで詳しく扱います。
  4. 解くべき問題を一文で再定義して共有する:絞り込んだ内容を一文に言い換え、関係者と同じ言葉で確認しましょう。

本当の問題を見抜く4ステップは、道具の導入や外部の力を借りる前に自社で回せます。考えている問題が本当の問題か、一度立ち止まって確かめる姿勢が土台になります。

たとえば「問い合わせ対応が遅い」と困っていた職場を考えてみましょう。ギャップを一文にし「なぜ」を重ねると、本体が問い合わせ窓口の分散だと分かりました。窓口を一本化する打ち手に絞ると、対応の重複が減り、遅れの相談も落ち着いていきました。

問題を言葉にする段階から一緒に整理したい場合は、課題整理から実行まで伴走する支援サービスもご活用ください。

「問題」と「課題」を分ける2つの視点

問題と課題は、2つの視点で分けられます。「ギャップそのもの」か「ギャップを埋める取り組み」かという役割の違い、そして「何がずれているか」か「何をするか」という問いの向きです。言葉を分けると、どこでズレが起きたかを見つけやすくなります。

問題とは、あるべき姿と現状との差そのものを指します。課題とは、その差を埋めるために取り組むべきことを指します。順番は問題が先で、課題は後です。課題から先に考えると、解くべき問題を飛ばしたまま打ち手だけが走り出しがちです。

問題と課題を、定義・問いの形・エレベーター例・やりがちなミスの4つの観点で対比した比較表。
言葉を分けると、どこでズレが起きたかを見つけやすくなります。

たとえば「納期遅れが月に何度も起きる」は問題です。これに対する「工程表の見直し」や「進捗共有の仕組みづくり」が課題にあたります。問題を正しく置いてから課題へ進むと、打ち手の的が定まります。

エレベーターの例に学ぶ問題の再定義|3つの定番策と発想の転換

問題の再定義の効果は、エレベーターの逸話がよく示します。10階建てのビルにエレベーターが1基しかなく、待ち時間の長さに利用者の不満が募った、という広く知られた教材例です。ここでの学びは、何を問題とみなすかで打ち手が一変することにあります。

ふつう思いつく解決策は、エレベーターの増設・高速化・大型化です。しかしどれも工事費がかさみ、実現の壁が高くなります。ある建物で採られたとされる工夫は、待合に姿見(大きな鏡)を置くことでした。真の問題は待ち時間の長さそのものではなく、待つ間の手持ち無沙汰だったからです。身だしなみを整える時間になれば、体感の待ち時間は短くなります。

エレベーターの増設・高速化・大型化という表面的な解決(×)と、待ち時間の体感に着目して姿見を置く問題の再定義(○)を対比した図。
『何を問題とみなすか』を変えるだけで、打ち手もコストも変わります(広く知られた教材例)。

問題を別の問題に置き直す考え方は、中小企業の現場にも応用できます。たとえば受注減を「営業が弱い」と設定すると、増員や広告という高コストな打ち手に向かいがちです。しかし真の問題が既存客の離れなら、離脱の理由を確かめる方が先でしょう。問題を置き直すと、打ち手やコストの選び方も変わってきます。ただし、変わり方は会社の状況によって異なります。

よくある質問

問題と課題は何が違いますか?

問題は「あるべき姿と現状のギャップそのもの」、課題は「そのギャップを埋めるための取り組み」です。順番は問題が先で、課題は後になります。課題から考え始めると、解くべき問題を飛ばして打ち手だけが動き出しがちです。まず問題を一文に置いてから課題へ進む流れが現実的でしょう。両者を分けて考えると、会議の議論もかみ合いやすくなります。

問題解決で最初にやるべきことは何ですか?

最初にやるべきは、解決策を探すことではなく、解くべき問題を正しく決めることです。問題設定を誤ると、その後の分析も打ち手もまとめて的を外します。現状とあるべき姿の差を一文にし、それが症状か本体かを確かめるところから始めましょう。手を動かす前の数十分が、後の遠回りを減らすことにつながります。

なぜ問題設定を間違えると労力がムダになるのですか?

解くべき問題がずれていると、正しく分析しても正しく実行しても、結果が的を外すからです。間違った問題や解決不要な問題に取り組む時間ほど、もったいないものはありません。特に人員や資金が限られる中小企業では、力の入れ先を一度誤る痛手が大きくなります。だからこそ、着手前の問題の明確化が効いてきます。

本当の問題はどうやって見抜けばいいですか?

目に見える困りごとを「症状」と疑い、「なぜ」を数回重ねて本体を探るのが基本です。現状とあるべき姿のギャップを一文にし、どこで起きているかまで絞り込みます。そのうえで、解くべき問題を一文に再定義して関係者と共有しましょう。自社だけで切り分けにくいときは、無料相談で一緒に論点を整理できます。

エレベーターの例は何を教えているのですか?

「何を問題とみなすか」を変えるだけで、打ち手もコストも変わることを教えています。待ち時間への不満を、待つ間の手持ち無沙汰という別の問題に置き直したことが要点です。広く知られた教材例であり、特定の実話として断定するものではありません。自社の困りごとでも、症状の奥にある本体を疑う練習として使えます。

WHEREやWHY以降にはどう進めばいいですか?

問題を一文に定めたら、次はWHERE(どこで起きているか)で発生箇所を絞ります。続くWHY(なぜ起きるか)で原因を掘り下げ、最後のHOW(どう解くか)で打ち手を選びましょう。この順番を守ると、原因の取り違えや打ち手の空振りを防ぎやすくなります。WHEREの具体的な進め方は問題箇所を特定するステップで解説しています。


自社にとっての「解くべき問題」を、一緒に見極めてみませんか。伴走支援パートナーズ株式会社は、計画づくりだけでなく実行・定着まで一緒に手を動かすコンサルティング会社です。「問題が多すぎて何から手をつけるか分からない」「立てた問題設定がズレていないか不安」という段階からご相談いただけます。現状の棚卸しから、解くべき問題の一文化、その後の分析と実行まで、自社の状況に合わせて伴走します。なお進め方や成果は企業ごとの状況により異なります。問題の明確化を無料相談で一緒に整理するところから、お気軽にご連絡ください。

執筆:伴走支援パートナーズ株式会社

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