生成AIの社内ルールは、7項目をA4で1〜2枚にまとめれば十分です。生成AIとは、指示に応じて文章や画像を作り出すAIです。当社は2021年設立、計画づくりから実行・定着まで伴走する会社です。本記事は経営者・管理部門向けに、文書としての社内ルール(社内ガイドライン)の作り方を扱います。社員一人ひとりの日々の使い方はChatGPTを会社で安全に使う7つのルールをご覧ください。この記事で分かるのは、入れる7項目・作り方4ステップ・よくある失敗の3点です。2026年8月時点の公的資料に基づきます。
生成AIの社内ルールを文書にする3つの理由
文書にする理由は、人の入れ替わり・現場の判断・原因の切り分けの3つです。文書化は、判断の基準を会社に残す作業です。
- 理由1:人が入れ替わっても基準が残る。入社や退職のたびに説明し直さずに済みます。
- 理由2:現場が自分で判断できる。上長が不在でも作業が止まりにくくなります。
- 理由3:問題の原因を切り分けられる。決めごとがあれば、逸脱の有無を確認できます。
総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」第1.2版は、令和8年3月31日に公表されました。本編は自らを、拘束力のない「非拘束的なソフトロー」と位置づけます(総務省掲載「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」本編(PDF))。令和7年6月公布のAI推進法自体には、事業者への罰則や許認可の規定は置かれていません(内閣府「AI法」のページ)。罰則付きのAI規制法ができたから作るのではありません。ただし個人情報保護法など既存の法令は、生成AIの利用にも適用され得ます。
退職した社員が個人アカウントで作った資料について、入力した情報も利用条件も誰も説明できない。文書があれば判断の出発点になります。社内ルールづくりから定着まで伴走する支援サービスもご覧ください。
生成AIの社内ルールに入れる7項目と書き方の例文
社内ルールに入れる項目は7つです。総務省が令和7年12月16日に自治体向けとして公開したひな形の章立てを、中小企業向けに読み替えました。

- 目的と対象範囲:「本ルールは、役員および従業員が業務で生成AIを利用する場合に適用する」。業務委託先の扱いも決めます。
- 使ってよいサービスの指定:「業務で使える生成AIは別表に掲げ、それ以外は情報システム担当に申請する。別表は情報システム担当が管理し、半年ごとに見直す」。
- 入力してよい情報・いけない情報:「顧客の氏名や連絡先、秘密として受け取った情報は入力しない」。
- 出力の確認義務:「生成物は担当者が事実関係を確認し、誤りや不適切な表現を修正して使用する」。ハルシネーション(事実と異なる内容をもっともらしく出す現象)への備えです。
- 社外公開・外注時の扱い:「生成物を社外に公開・納品する場合は上長の確認を経る」。委託契約にも生成物の取扱いを定めます。
- 困ったときの報告ルート:「次の事象に気づいた者は直ちに◯◯へ報告する」。総務省ひな形が挙げる4類型は、差別的な出力・危険な内容・誤情報・作品への類似です。
- 教育と見直しの手続き:「本ルールは半年ごとに見直し、◯◯の決裁で改定する」。利用前の社内説明も定めます。
項目2の別表は、契約しているサービスごとに1行ずつ書きます。

生成AIの社内ルールに書く入力範囲の3段階
入力範囲は、そのまま入力してよい・伏せれば使える・入力しない、の3段階で書きます。本章はルール文書への書き方に絞ります。
| 区分 | 例 | ルールへの書き方 |
|---|---|---|
| そのまま入力してよい | 公開済みの会社案内 | 「公開済みの情報は入力してよい」 |
| 伏せれば使える | 社名や金額を伏せれば通じる相談 | 「社名・金額・個人名を伏せて入力する」 |
| 入力しない | 個人データ、秘密として受け取った情報 | 「入力しない」と列挙する |
個人データとは、個人情報をデータベース等にまとめ、検索できるようにしたものです。個人情報保護委員会は令和5年6月2日、生成AIの利用に関する注意喚起を公表しました。個人情報を含むプロンプト(生成AIへの指示文)の入力は、利用目的の範囲内かの確認が求められます。本人の同意なく個人データを入力し、応答結果の出力以外の目的で扱われる場合は、法違反の可能性があるとされます。その場合は、提供事業者が機械学習に利用しないこと等の確認も求められます(個人情報保護委員会の生成AI利用に関する注意喚起)。
著作権では、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」が参考になります。文化審議会著作権分科会法制度小委員会が令和6年3月15日に取りまとめた文書です。生成・利用段階では主に類似性と依拠性が問題になると整理されました。ただし個別の事情によって判断は変わります。依拠性とは、既存の著作物を知った上で作ったといえる関係です。同資料に法的拘束力はなく、個別の判断は弁護士等の専門家にご相談ください(文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(PDF))。
生成AIの社内ルールの作り方4ステップ
作り方は、たたき台・現場確認・周知・見直しの4ステップです。完成版を待ちすぎず、たたき台の段階で現場の確認に回します。
- たたき台を1人で作る:公的なひな形を下敷きに、7項目を埋めます。
- 使っている社員数名に見せる:「これでは業務が止まる」という声が重要です。
- 配って、口頭で補う:禁止事項より先に「使ってよい範囲」を伝えます。
- 半年ごとに見直す:期日と担当者を本文に書き、改定日を残します。

大企業と同じ体制は求められていません。AI事業者ガイドライン第1.2版は、「各主体の資源制約を考慮しながら自主的に進めることが重要」としています。人工知能戦略本部が令和7年12月19日に決定した指針も、規模やリスクに応じた水準での対応を求めます(内閣府掲載「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」(PDF))。
たたき台は、総務省「(自治体名)生成AIシステム利用ガイドライン(ひな形Ver1.0・Word)」(Word・令和7年12月16日公表)が下敷きになります。自治体名を自社名に読み替えます。社員向けの説明には、IPA「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」が使えます。
進め方は小さく始めて広げるAI業務活用にまとめています。
生成AIの社内ルールでよくある失敗3つ
よくある失敗は、禁止一辺倒・配って終わり・法令名の羅列の3つです。いずれもルールが読まれなくなる原因です。
- 失敗1:文書が禁止条項だけになる。使ってよい範囲がないと、社員は自分の業務が該当するか判断できません。結果として、会社が把握できない私用端末での利用に回りやすくなります。
- 失敗2:作って配って終わる。見直しの担当者と期日がないため、サービスの仕様変更に追いつけません。期日と担当者はルール本文に書き込みます。
- 失敗3:法令名を並べただけで終わる。読んだ社員が自分の作業に翻訳できません。例文と別表で、自社の業務の言葉に落とします。
ルールを整えれば情報漏えいを防げる、という話ではありません。判断に迷う場面が減りやすくなります。使い始める業務は中小企業のAI活用事例15選が参考になります。
よくある質問(生成AIの社内ルールの作り方)
生成AIを全面禁止にすれば、社内ルールは要りませんか。
全面禁止にする場合も文書は必要です。禁止の範囲と例外の申請先がないと、見えない利用が増えます。日々の使い方はChatGPTを会社で安全に使う7つのルールで解説しています。
社員10人以下の会社にも社内ルールは要りますか。
一律の作成義務があるとは限りませんが、実務上は用意しておくと安心です。扱う情報や契約・業種によって必要性は変わります。A4で1〜2枚から始めれば十分です。内閣府掲載の適正性確保に関する指針も、規模やリスクに応じた対応としています。
法務担当がいません。誰が作るのですか。
経営者または管理部門が原案を作る形が現実的です。公的なひな形を下敷きにすれば、基本形は作れます。個人データ・秘密保持・著作権・懲戒との接続は、必要に応じて弁護士や社会保険労務士にご確認ください。原案づくりは、社内への定着まで伴走する支援サービスでも承ります。
ルール違反に罰則の規定は必要ですか。
罰則の規定は必須ではありません。懲戒処分との接続は就業規則の設計に関わります。社会保険労務士や弁護士等にご確認ください。書き方に迷う場合は社内ルールの作り方を無料で相談することもできます。
無料版や個人アカウントの利用は禁止すべきですか。
一律禁止より、使ってよいサービスを別表で指定する形が運用しやすくなります。総務省が自治体向けに公開したひな形も、指定外の生成AIは認めず申請制です。
入力した情報は学習に使われますか。
学習利用(入力内容をAIの性能改善のための訓練データに使うこと)の扱いは、サービスと契約プランで異なります。利用規約とプライバシーポリシーでの確認が前提です。外に出したくない情報が多いならローカルで動くAIという選択肢もあります。
まとめ|生成AIの社内ルールはA4で1〜2枚から
生成AIの社内ルールは、7項目をA4で1〜2枚にまとめれば十分です。自社に合わせた線引きと、現場への定着が本番です。文書としての社内ルールは線引きを決め、日々の心得は使い方を支えます。
線引きや社内への広げ方に迷ったら、計画から実行・定着まで一緒に手を動かします。生成AIの社内ルールづくりについて無料で相談するからご連絡ください。進め方や結果は企業ごとに異なります。
2026年8月時点の情報です。法令・ガイドライン・各サービスの規約は更新されます。最新は公式サイトでご確認ください。